【Apple】ブラウンに魅せられたアップルと、そのデザイン言語?!

ドイツのブラウンというブランドをご存知でしょうか? 日本では電動歯ブラシや電動シェーバーでよく知られているかと思いますが、このブランドがApple製品のデザインのルーツであることは知っていますか?

デジモノステーションの記事から抜粋を引用

『iPhone 6s』や『iPad Pro』、『Apple Pencil』とまたまた発表会で話題をさらったアップルですが、今回はそのデザインのお話をします。まずはドイツのブラウンというブランドをご存知でしょうか? 日本では電動歯ブラシや電動シェーバーでよく知られているかと思いますが、このブランドが家電デザインのルーツと呼ばれることは知っていますか?

ブラウンは1921年に創業され、1955年には現在のブラウンの礎となるデザインフィロソフィーを確立。ミニマルデザインでタイムレス、シンプルながらメカニカルといった究極の家電デザインを、世界に先駆けて発表。その後、かの有名なレジェンドデザイナー、ディーター・ラムスを輩出し、約40年間チーフデザイナーを務めさせることで、そのデザイン性と革新性をブーストさせ続けた家電ブランドとして知られています。

あのアップルのデザイナーであるジョナサン・アイブもディーター・ラムスのファンの一人。デジモノステーション読者ならこの名前は9割9分の人が知っていますよね? では、彼が生み出したいくつかの製品は、ブラウンの製品からインスパイアを受けて、実際にデザインされた製品であるということは知ってますか? これは事実であり、本人も認めているところ。実際にラムスに直接手紙を出すなど、リスペクトの意思を示すとともに、ラムスはその事実を光栄に思っていると返答しています。

さて、今回、本誌シロモノ家電担当の滝田は、ドイツのフランクフルト郊外クロンベルクというところにあるブラウンのアーカイブを集めた「ブラウンコレクション」に、IFA取材後に行って参りました。そこで、デジモノ読者だったら当然気になるであろう、アップルに影響を与えたとされるブラウン製品3つを肉眼で確認。アップル製品がそれらのデザインをどれだけ参考にしたか、ここではしっかり考察しましょう。

●計算機『ET44』
基本機能である数字と他の計算機能のボタンの色を変えた機能的な電卓。後継モデルET66は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のパーマネントコレクション。

<肉眼考察>初代iPhoneの計算機
片やハードであり、片や画面のソフトウエアであるという違いはあるものの、黒い長方形の本体内に円形上のボタンが並び、かつ上部に液晶で数字が羅列されるというデザイン言語はすべて共通だと思います。また、肝心のキー配列ですが、もっとも重要なボタンとして“=”にオレンジを配色、際立たせているところも共通です。これはブラウンが1955年前後からすでに使っているアクセントカラーを使って、重要ボタンをガイドするという手法で、このあたりは色まで含め、完全に共通しています。“÷”“×”“+”“-”といった縦に並ぶボタン、数字のボタンなど配列にも共通項は見られますが、これは計算機はこういうものだということで、デザイン言語云々とは違う話かもしれません。

●ポケットラジオ『T3』
白色の長方形に円形のダイヤル、そしてスピーカー部分の小さなパーフォレーションが正方形を構成。’58年に出されたポケット・トランジスタラジオ『T3』の簡潔なデザインは、まさに“Less but Better”(レス・バット・ベター)の代表的アイテムだ。

<肉眼考察>初代iPod
まずは初代iPodを横にするか、それとも『T3』を縦にして並べてみましょう。素材感は2000年前後のiPodの光沢ある感じと、乳白色のプラスチック素材ですから、白という共通項はあるものの、さすがに見比べてみるとだいぶ違いますね。でも、フロントフェイスのデザイン言語はほぼ同じです。まずはチューニングを合わせる円形のダイヤル。これとiPodのクリックホイール。それぞれ二重構造のボタンと周囲のサークル部、さらにはその周辺に描かれた数字とボタン表記など、共通点がかなりあります。そして、スピーカー部分の正方形のパーフォレーションと正方形に近い長方形の液晶画面。まあ、このあたりもだいぶ近いですね。ただ、片や音を出す単なる無機質なスピーカーであり、肩や音楽名などを表示したり、再生中の画面を表示したりする用途なので、そのあたりは違います。またサイズ感に関しては、どちらもポータブルで手のひらサイズという意味ではなんとなく共通ですが、若干『T3』のほうが奥行き感はある感じがしました。

●ポータブルラジオ『T1000』
ディーター・ラムスの代表作のひとつとされる名品。セミプロ向けの高性能マルチバンド・ラジオ受信機で、世界のすべての周波数をカバーするという意味から「ワールドレシーバー」と命名されました。

<肉眼考察>Mac Pro/MacBook Pro
『T1000』はネット上などで以前のシルバーの『Mac Pro』と比較されているのですが、たしかに奥行きのある形状やアルミならではの素材感、立たせた時の出で立ちなどは『Mac Pro』と共通しているところはあると思います。が、『T1000』がむしろポータブル用途のラジオということを考えると、個人的には『MacBook Pro』なと比較したほうが、よりデザイン言語の共通性が見つかるような気がします。例えば、『MacBook Pro』は携帯している時には、液晶を閉めるとともに、それがキーボードの蓋代わりの役割をしますよね? この『T1000』の蓋もまさに同じこと。ラジオを持ち運ぶ時には、内側のボタンやつまみなどが万が一なにかにぶつかっても蓋がカバーとなって壊れないように、しっかりと防護されています。この辺りの考え方とその防護カバーの使い方などはデザイン言語が共通していると思います。見た目ではない機能性も考えたうえでのデザイン言語の共通性のほうが、より考え方がマッチしている説明に繋がるのではないでしょうか? ただ、『T1000』はつまみなどの突起をカバー側に溝を空けることで吸収しているのに対し、『MacBook Pro』はカバーとなる液晶自体はフラットで、キーボードを本体側に入れこむことで吸収している点は、同じカバーでもデザイン言語は別物です。

さて、当日、現在ブラウンのヘッド・オブ・デザインを務めるDuy Phong Vu氏にもこそっとこのあたりについてきいたところ、以下のような答えが。「これはアップルが真似したとかそういう話ではなく、アップルという最先端の企業が目指した製品のデザイン言語が、たまたまブラウンの革新的なデザインと共通だった」とコメント。つまり、そんなデザイン言語をすでに1955年から打ち出してたブラウンもすごいですし、それを堂々とインスパイアされましたと公言し、これだけ世界中で指示される製品を生み出し続けているアップルもさすがというわけです。

東京オリンピックのエンブレム問題などと違って、デザインのお話はパクったパクられたではなく、こういう友好関係のある素敵なお話として、これからはどんどん語っていきたいものですね。

 

 

まとめ

私はサラリーマン時代にチームのメンバーに「優れた技術は盗め!」と言い聞かせていました。通常は人から盗むのは悪いことのように思われがちですが、実は優れた技術が盗める人は元々優秀な人なのです。

優秀でない人は人から盗めません。それはオリンピック選手を見ればよくわかると思います。優れた先輩から盗めるから成長し高度な技術が身につけられるわけです。

コンピューター技術の進歩も盗んだ歴史です。ゼロックスのパロアルト研究所をメンバーとともに訪れたスティーブジョブズは、そこにあった革新的な技術を盗んで帰ってMacintoshを開発して世に出します。

それを盗んだのがビルゲイツです。そしてWindowsを開発し、Window95でMacOSを追い抜きます。そしてMacOSXで再び・・・果てしなく続きます。

こうした競争は、iPodやiPhone、iPad、iOSでソニーやGoogleなどの企業との間で激しく戦われています

ゼロックスはアップルを訴えました。その時にスティーブジョブズは言いました。「ゼロックスは国家的犯罪を犯している」世界中の優秀な人材を金で集めて研究させて、得た成果を社会に還元していないと。

技術を真似することの善悪は、それが社会に還元されるか否かにかかっていると思います。パクった、パクられた、という議論の前に、それが社会にとって価値があるものかどうかについて議論すべきではないでしょうか?

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ではでは、きらやん