最近ROLI Lightpad Blockという電子楽器を購入しましたが、モデルチェンジ後のLightpad Block Mが発売されているにもかかわらず旧モデルを購入しました。モデルチェンジ前のモデルを購入するメリットについて考察します。
背景
以前に、ベンツがモデルチェンジをするという発表があると、なぜかモデルチェンジ前のモデルの価格が上昇するという話を聞いたことがあります。
私の座右の銘の一つに、松下幸之助の以下の言葉があります。
「商売とは、感動を与える事である」
「それは、事前期待を上回ることである」
「失敗は、諦めるから失敗になるのであって、諦めなければ失敗にはならない」
この中で登場する「事前期待を上回る」という言葉が、モデルチェンジ前のモデルを敢えて購入する動機付けと関係しているのではないか?と私は考えています。
ベンツを購入するようなユーザー層が「ベンツ」に期待していることは何か?を考えると、その理由が見えてくるような気がします。
ROLI Lightpad Block M
私が今回購入した「Lightpad Block」は2016年から販売されています。2017年10月にモデルチェンジした「Lightpad Block M」が発売されて以降も併売されています。
What is BLOCKS? >>> YouTubeサイトへ
私が購入した旧モデルは国内の正規代理店(MI7 Store)がAmazonで販売していたものです。2018年8月15日時点での価格は23,500円 税込 でした。
現時点(8月27日)では国内正規品は在庫切れで再入荷予定は立っていません。
並行輸入品は18,000円で販売中ですが、私はメーカーや代理店の保証が受けられない並行輸入品は例え安くてもできるだけ買わないようにしています。
新モデルのLightpad Block Mは、Amazonでは並行輸入品が38,954円で取り寄せ注文となっています。
実は、Apple(23,800円 税別)やSoundHouse(22,800円 税別)で通販でも購入が可能です。
つまり、単純に価格や保証や入手性で比べると、新モデルも旧モデルもさほど変わらないので、一般的には新モデルを購入する方が得策のように感じます。
私が旧モデルを選択した理由の一つが、新モデルで新たに搭載された「タックタイル・フィードバック」に対する懸念からです。
タックタイル・フィードバックとは
一般的には押しボタンスイッチなどで、押されたことが指先の感覚で感じられるような機構を言います。
液晶画面操作などでは、タッチしても画面からの機械的な反応が無いので、擬似的に音を鳴らすなどで代用します。
ところが、私が10年以上前のサラリーマン時代に、ユニバーサルデザインの研究開発を担当していた時に、液晶パネルメーカーから「画面が振動する液晶パネル」の売り込みがありました。
今回の「タックタイル・フィードバック」は、この技術の延長線上にあると考えました。
液晶画面スピーカー
今使っているスマートフォンの通話用スピーカーは従来通りの画面の上にある小さなものですが、その前の機種は液晶画面全体が振動するスピーカーを採用していました。
その方が、耳の位置に関係なく音が明瞭に聞こえるので使用上のメリットを感じます。
ところが、この方式のデメリットはコストが高い事です。
スマホの価格を比較すると、前の機種は8万円、今の機種は2万円です。4倍の差があります。
つまり、今の機種にはとてもこの液晶画面全体が振動するスピーカーの方式はコスト的に使えないわけです。
「事前期待を上回る」ことを考えると、優れた方式のスピーカーより、4分の1の価格における操作性の方が上回ったと言えます。
コストアップを抑えるために犠牲にするもの
今回の「タックタイル・フィードバック」のようなコストがかかる技術を導入して価格を据え置くためには、他のどこかでそれに見合ったコストダウンをしなければならなくなります。
昔は部品や製造コストを下げる努力が可能でしたが、現在は全てのワークフローの中のトータルコストから「人件費」を削減する方が簡単です。
つまり、ユーザーには見えない部分でのコストダウンがされるので、私にはそれが懸念材料に感じるわけです。
それが、私がモデルチェンジ前の旧機種を敢えて購入した主な理由です。
ただし、この私の判断材料には直感的な部分が多く含まれているので、あくまで参考意見として聞いて頂ければと思います。
まとめ
私が社会人になってコンピューターの保守を仕事として始めた40年前には、部品一つひとつを交換して修理が出来る時代でした。
ところが、現代はユニットを丸ごと交換する時代です。パソコンが壊れたのでメーカーに修理の見積もりをしたところ、製品価格と大して変わらない額を見て驚いてしまうわけです。
コンピューターの製品コストは40年前の千分の一、いや性能向上を考えると無限大分の一になりましたが、修理コストは逆に相対的に増えたと言えます。
「人件費」を抑えた結果として、製品を大切に長く使うという文化が、少なくとも電子機器では、成り立たなくなってきました。
目新しい機能や性能を手に入れるために、新しい製品が出ると飛びついてしまう気持ちはわかりますが、昔とは世の中の構造が変化していることにも目を向けて適切な判断をしたいと思います。
ではでは、きらやん