IKマルチメディアから8月下旬に発売予定の「Syntronik」のフリー・バージョンがダウンロードできたので紹介します。miniMoogを始め、往年のアナログ・シンセの名機38機種を17のインストゥルメントに凝縮。これがフリー?
YouTubeに観る「Syntronik」
IKのプロモーション・ビデオです。
Syntronik – The Legendary Synth Powerhouse – Trailer
次はサウンド・デモです。
Jordan Rudess – 10 Syntronik Sound Demos
特徴
詳しくは以下のメーカー・ページをご覧ください。
http://www.ikmultimedia.com/jp/products/syntronik/
私がありがたいと思ったのは、CPU占有率が非常に低いことです。例えば、NIのREAKTORで動くminiMoogエミュレーションの「MONARK」だと、1つのシンセだけで30%くらい(Core2Duo 3GHz)食いますが、SyntronikだとSampleTank3に4パート並べて同時に演奏しても40%くらいに収まりました。内蔵エフェクターを使いマルチレイヤーしてもです。
そうすると何が良いかと言うと、従来はREAKTORのシンセを1つづつ鳴らしてはオーディオクリップに録音して、それを繰り返して曲に仕上げていましたが、Syntronikを使えばリアルタイムに同時に鳴らすことができるので、演奏途中でいろいろいじれる幅が広がります。
しかも、MONARKはデモ版なので連続して30分しか使えませんが、Syntronik Freeだと無期限無制限に製品版のように使えます。製品版との違いはプリセット数ですが、製品版が2,000以上なのに対してフリー版は50に制限されています。
ところが、フリー版でもツマミを自由にいじって音作りができるので、私にとってはむしろプリセット数が少ない方が有難かったりしますが・・・
インストール方法
フリーと言っても大規模なソフトウェアなのでインストールはそれなりに面倒です。SampleTank3もそうでしたが、IKはシリアルナンバーによるオーサライズがあるのでわかりにくいです。さらに初めての方はユーザー登録も必要です。
私は過去にいくつかIKから製品を購入しているので、そのアカウントでログインすると以下の表示が出ます。2009年に購入した「SampleMoog」もここから今でもダウンロードできるのはありがたいです。
「My Products」をクリックします。以下のSyntronik Freeに行きます。
OSに応じた「Download」ボタンをクリックします。ここで、同時に「Serials/Authorizations」でシリアル・ナンバーも入手しておきます。コピーすればOKです。ちなみに、2009年に購入した「SampleMoog」は以下です。
先ほどコピーしておいたシリアル・ナンバーを「PASTE」をクリックして貼り付けます。そうすると「このシリアル・ナンバーは他のユーザーで使われています」というメッセージが表示されました。ひょっとすると、別のアカウントでログインしたことになっているのかもしれないと考え、右上の「LOGOUT」をクリックしてログアウトしました。
再度、ユーザー名とパスワードを入力し「NEXT」をクリックします。
再度シリアル・ナンバーを「PASTE」すると「OK」になりました。「NEXT」をクリックします。
やっとダウンロード・ボタンが現れたので「DOWNLOAD」をクリックし、インストーラーをダウンロードします。「DONE」をクリックしてオーサライゼーション・マネージャーを終了します。
ダウンロードしたインストーラーを起動し、画面の指示に従ってインストールします。私の場合は5分程度かかりました。
使ってみる
上記が初期画面です。左側に38機種のビンテージ・シンセを17のインストゥルメントに凝縮したシンセが並んでいます。例えば、上記で選択してある音色の「A Deep Sweeper」は「Minimod」(右のminiMoogっぽい画像)というインストゥルメントに含まれるminiMoogエミュレーションです。他の同系列のMoogシンセもMinimodに含まれています。
左のどれかのシンセをクリックするか、中央左列のフィルターでプリセットを絞り込めます。中央右列の50個(フリー版)のプリセットから音色を選びます。トップの音色名の左のシンセ・アイコンをクリックすると、個別シンセの操作パネルとプリセット画面がトグルします。
私はBitwig Studio 2 DEMOでプラグイン(VST3)として使っていますが、スタンドアロンでも使えますし、SampleTank3(無料)のインストゥルメントとしても使えます。
SmapleTank3で使う場合は、SampleTank3をスタンドアロンで立ち上げておいて、Syntronikのインストゥルメントを各パートに割り振っておいて、BitwigのMIDIトラックをパート分だけ作ってMIDIチャンネルを対応させて使うと便利です。
BitwigのMIDIトラックには以下の「HW Instrument」をドラッグ&ドロップすると、外部のシンセ・ソフトにMIDI信号が送れます。この時も「rtpMIDI」を経由して使えます。
まとめ
Syntronik Freeの「Vger Sync Down Light」でソロの手引き演奏(iPod touchのGyroSynthとThumbJamを併用)とREAKTOR「FLESH」を使って試しに作った曲が以下です。
Syntronik-1.mp3
SampleTank3をさらに進化させて、オシレータはマルチサンプリング音源で割り切り、フィルター以降はソフトウェア・エミュレーションでリアルな操作性も実現するという、まさにハイブリッド技術の典型例と言えます。この結果、CPU占有率が低くメモリーを食わない使いやすさを実現しています。出音はIKらしいリアルなシンセ音で、フリーでも満足して使える貴重なシンセだと感じました。
NIの「FLESH」との組合せでは、CPU占有率の低さを活かして、SyntronikとFLESHを同時に鳴らしてもCPU占有率は60%前後と余裕で使えたのは嬉しい限りです。
ではでは、きらやん