母の介護が必要になり自己都合退職して広島市の実家に移り住んでフリーランスになりました。独身時代には最初に就職した会社の仲間と起業した事もあります。日本のビジネス環境が激変する中で、私の体験事例と共にその考え方と進め方を紹介します。
IT系技術者のフリーランス
フリーランスとして選んだ職種は「Webデザイナー」でした。退職後に最初は「DTPデザイナー」になろうと考えて、知人のDTPデザイナーに相談したところ、Webデザイナーを勧められました。
その理由は、DTPというのは印刷業界なので、それまでに業界と直接接点を持たない人間が始めようとしても、障壁が多いので、IT業界のWebの方が好ましいという事でした。当時の私にはその忠告の意味はあまり理解できていませんでしたが、その人のアドバイスに従うことにしました。
そこで、広島市に移住する前に、パソコン・スクールに併設されていたWebデザイン・スクールに1年間通って実践的なWebデザインの技術を学びました。ここは現在は存在しませんが、例えば以下のようなスクールのコースでした。
Webデザイナー総合コース >>> インターネット・アカデミー サイトへ
この時に投資した額は、スクール代が約80万円、仕事用のパソコンやソフトウェア代などが約30万円だったので合計で100万円以上でした。
ここまで説明すると、何となく正解っぽい進め方のように思えます。しかし、今の私にはこの出発点ですでに失敗していたと感じています。
仕事にパソコンを導入して効率化や売り上げアップを計ろうとパソコン・スクールに通うという話はよく聞きますが、今の私が思うには、パソコンを仕事で活かせる人は、すでに従来の方法で食っていけている人だと思います。
パソコン・スクールに通う前に、自分が参入しようとしている業界で本当にニーズがあるのか?を正確に把握する事の方が優先課題だと思います。
そこでIT業界であれば、例えば「レバテックフリーランス」のような個人と企業を結びつける仲介やサポートを行なっている企業に「客観的に自分の価値を計ってもらう」ことから始めることをオススメします。
このサイトの中で、フリーランスや起業を目指している人向けの考え方や進め方を提案しているページが以下です。
フリーランスの起業について >>> レバテックフリーランス サイトへ
企業の中で専門職の技術者としてのスペシャリストだという評価が得られていれば、力強い助っ人になってもらえると思います。
管理職やスタッフや技術職以外の場合は、むしろ一般的な転職をサポートしてくれる「リクルートエージェント」などに登録して転職先の紹介や相談に乗ってもらう方が良いと思います。
起業の考え方や進め方
レバテックフリーランスなどの紹介で、直接企業と契約してコンスタントに仕事がもらえるようになれば、フリーランスとしての出発という観点では成功したと言って良いと思います。
一方で、私が独身時代に体験した起業は少し考え方や進め方が違っていました。
最初に入社した会社での職種は「コンピューターのメンテナンス」でした。工業用のコンピューターが相手だったので、客先の工場でトラブルが起こると、一人で行ってそのトラブルを解消して技術料を頂くのが仕事でした。
客先と保守契約を締結している場合が多く、その場合は契約の範囲内で「コンピューターの動作を保証する」という観点で、トラブルを未然に防ぐ点検や予防処置などを行なっていました。
その会社の先輩や同僚たち約30名ほどが独立して新しい会社を起業したのですが、その起業のメンバーに私も入っていました。1981年の初めでしたが、当時はスピンアウトと言われていました。40年近く前の話です。
フリーランスの起業というのは一般的には一人かせいぜい数人なので、このケースはあまり参考にならないかもしれませんが、当時私が最初に行なった仕事は、社長の補佐で「役所の手続きを速やかに行う」ことでした。
具体的には、経理や福利厚生や公的年金などの申請や社内体制の整備などです。さらには会社案内の制作をリクルートに依頼して窓口となるなど、当初考えていたのとはまるで畑違いの仕事を半年以上行いました。
おそらく、フリーランスとして個人で起業する場合は、こうした間接的な仕事は後回しになるか、場合によっては省略されることも多いのかもしれませんが、重要なのは、それを把握した上で後回しや省略するという事だと思います。
会社案内や各自の名刺のデザインなどは、いわば「会社の顔」となるので、真っ先に「会社名」や「会社のロゴ」をどうするかを考えるのが最優先課題となります。場合によってはその道のプロに依頼する事も必要かもしれません。
ここで手を抜くと、後でしっぺ返しを喰らいます。
起業では、スペシャリストとして直接「稼ぐ」人材も必要ですが、全体を俯瞰して「経営する」ことや全体的な優先順位、つまり「選択と集中」を客観的な観点で断行できる人材も同時に必要だと思います。
個人でフリーランスとして起業する場合は、自分が「稼ぐ」と同時に「経営する」ことになりますが、出来れば「経営する」ことに関しては信頼できる第三者に相談できる体制を整える事が重要だと思います。
まとめ
私は起業後3年で再度転職したので、その後は株主として見守ることしかなかったわけですが、幸いなことにその会社は今でも存在し、従業員数は200名を越えて着実に成長・発展しています。
発足当時に制定した会社名やロゴは今でもホームページの左上に掲げられています。本来なら時流に合ったデザインに変えて行くのが良いのかもしれませんが、私にとってはこのデザインが誇らしいです。
最初の会社案内で採用した「スペースシャトル」の発射風景は、社内では不評でしたが・・・
フリーランスでWebデザインを行なっていた時に役立ったのは、退職直前の5年間に担当した「ユニバーサル・デザイン」の知識やスキルでした。
これを最も活用して制作(リニューアル)したWebサイトは以下の記事で紹介しています。
視覚障がい者向けWebサイトを無料スクリーンリーダーで読む?! >>>
今から振り返ると、転職したり起業したりフリーランスになったりして会社や職種が変わっても、それまでのキャリアや経験を活かせるかどうかがその後の人生を決めるような気がします。
裏を返すと、会社や職種が変わっても「仕事の本質は変わらない」と痛感します。つまり、自分のニーズというのは「周りの人が作る」と考えると、自分が変わっていくのは「周りの人のおかげ」だから、常に「感謝する」という気持ちが大切だと思います。
案外、フリーランスで必要な資質は、スペシャリストとしての能力よりも「人間力」のような気もしますが・・・
ではでは、きらやん