雑誌「これならできる特選スピーカーユニット フォステクス編」の付録に付いてくる「手作りスピーカー」用の8cmフルレンジ・ユニットをどう考えるか? 前回紹介したパイオニア製6cmユニットとQWTエンクロージュア・キットの組合せと比較して考察すると?
昨年(2016年)までの状況
昨年のオーディオ雑誌「ステレオ」2016年8月号にはフォステクス製8cmフルレンジ・スピーカー・ユニットが付録で付いていました。
これと組合せるエンクロージュア・キットは「スピーカー工作の基本&実例集2016年版 」の付録としてバックロードホーン・タイプが付いていました。
今回のようにパイオニア製ユニットが付録で付いてくる雑誌は特にありませんでした。
この8cmユニットとバックロードホーン・エンクロージュア(上記キットやオリジナルも含む)を組合せたレビュー記事やYouTubeでの紹介動画がかなり多数存在していることからも、オーディオ・マニアだけでなく一般の人からも注目を集めた存在だったと思われます。
YouTubeの動画を一部紹介します。
Fostex M800(Stereo誌2016年8月号付録)で聴く[1]~カーペンターズ/シング
Stereo 2016年8月号 Fostex M800 エンクロージャーキットをNFJ別注 Lepy LP-2020A+で鳴らす
今年(2017年)の動向
雑誌「ステレオ」に直接付録として付かなくなった代わりに、スピーカー・ユニットはフォステクスとパイオニアの2種類から選べるようになったことと、エンクロージュア・キットがバックロードホーン・タイプからQWTタイプに変更になり、それと組合せるスピーカーがパイオニア製に変更になりました。
これならできる特選スピーカーユニット フォステクス編 (ONTOMO MOOK) >>>
さらに、フォステクス製スピーカー・ユニットが昨年よりアップグレードされ、磁気回路の強化とフェイズプラグの搭載などで、バックロードホーン・タイプ以外のエンクロージュアでも楽しめる、というか、むしろバスレフやQWT方式への移行ともとれるチューニングがされているように思えます。
しかし、雑誌付録のエンクロージュア・キットは6cmのパイオニア製に合うようになっているので、口径が8cmのフォステクス製ユニットはそのままでは取り付けられません。
もちろんバッフル版を別に購入して取り付けることは可能かと思いますが、私には以下のダブル・バスレフ・エンクロージュアのような別売のエンクロージュアと組合せて使うように考えられているような気がします。
Amazon: FOSTEX スピーカーボックス M800-DB >>>
また、上記雑誌を出版しているオントモ・ヴィレッジで9月10日までキャンペーン「オーディオ工作祭り2017」をやっているので、興味のある方は以下を覗いてみてください。多彩なおもしろいエンクロージュア・キットがスピーカー・ユニット付きであります。
http://ontomovillage.shop-pro.jp/?tid=3&mode=f25
2018年7月発売のONTOMO MOOK
2018年7月19日に発売となったONTOMO MOOKでは遂に「マークオーディオ」製8cmフルレンジユニットと、別売でこのユニットに最適化されたコンパクトなバスレフ・エンクロージュア・キットが付録として登場しました。
以下の記事でYouTubeの視聴動画も含めて詳しく紹介しています。
マークオーディオ?遂に月刊ステレオ編ONTOMO MOOKに登場!? >>>
8cmフルレンジ・ユニットの楽しみ方
「手作りスピーカー」に使うユニットの中でも最もメーカーや種類が多いのが8cmだと思います。以下の「コイズミ無線」通販ショップを覗いてみてください。
次に多い10cmと比べると価格が安いというメリットもあります。
私の独断と偏見から言うと、8cmのフルレンジ・スピーカー・ユニットは「遊ぶオモチャ」としての性格が強いと感じています。
なぜかと言うと、スピーカーの寸法などの規格がほぼ統一されていて、同じエンクロージュアでとっかえひっかえ色々なスピーカー・ユニットを試すことが簡単にできます。
「手作りスピーカー」の醍醐味はやはりエンクロージュアの設計と製作だとは思いますが、そう簡単にできるものではないですし、場所も取ります。
8cmユニットをちょこちょこ買ってきては取り換えて楽しむのは「遊ぶオモチャ」として都合が良いと思います。
ですから、今回の雑誌の付録に付いてくるフォステクス製8cmユニットの楽しみ方は、置き場所や用途に合ったエンクロージュア(キット)を1つ用意します。
それで暫く聴き込んで楽しんだ後に、他のメーカーの8cmユニットを買って取り換えて楽しむというのが良いのではないでしょうか?
塩ビ管スピーカーとは?
8cmスピーカーで自作して楽しんだ記憶の片隅に、「塩ビパイプ」で自由自在に形を変えて楽しむ方式がありました。
今までに、これほど自由度の高い設計を行った経験はありませんでした。とにかくアイデアがすぐに形になります。
例えば、以下のような感じです。
塩ビパイプは近所のホームセンターで10cm径の物を主に買ってきて作っていましたが、途中で口径を変える継ぎ手なども売っているので、本当に自由自在です。改造も簡単に出来ます。
木材より塩ビの方が柔らかいので、簡単に切断できるので工作が楽というメリットもあります。以下の動画はちょっと古いですが、これほどシンプルな物でもけっこう良い音がします。
塩ビ管スピーカー・シンプル1 >>> YouTubeサイトへ
「かんすぴ」とは?
フォステクスが出しているオールインワンの製品で、8cmのキットは以下です。
アンプまで付いていてペアで1万円ほどで買えるので初心者にはリーズナブルで良いと思います。アンプなどは持っているから要らないという方は、好みのエンクロージュアを買って「オモチャで遊ぶ」楽しみ方もあるかな?と思います。
まとめ
小型のスピーカーの遊び方のひとつに、いろいろな方向に向けて音場の違いを楽しむ方法があります。
一番簡単なのが上に向けて音を天井に放射するのですが、それだけでもかなり雰囲気が変わります。
私はさらに、ボール状のものや大型本などでスピーカーの直近に反射板を簡易的に設置して無指向性やクロス指向性のものなどを試して遊んだ経験があります。
そんなことをやっていたらスピーカーの振動版を傷つけたりするのではないか?と一般的なスピーカーならやらないです。
しかし、1本3千円とかで、そのあたりにゴロゴロ転がっている8cmスピーカーならそういう楽しみ方もできるかも?という話ですが・・・
小口径のフルレンジ・スピーカーはいろいろ試すのに都合が良いので、実験的な試みも含めて範囲を拡大して楽しむと新しい世界が開けるような気がします。
以下の記事では、パイオニア製6cmスピーカーとQWT方式エンクロージュアの組み合わせによる自作スピーカーの楽しみ方を紹介しています。
パイオニアQWT方式「手作りスピーカー」を雑誌付録で!「当たればホームラン」とは?! >>>
ではでは、きらやん